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経営全般

潰れる会社の特徴3選|中小企業診断士が再生支援の現場で見た共通点

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「来月、資金がショートするかもしれません」——中小企業診断士として、私はこの言葉を何度も聞いてきました。再生支援の現場に立ち会う中で見えてきたのは、業種や規模を問わず、経営危機に陥る企業には共通する「3つの特徴」があるということです。世の中にあふれる「潰れる会社◯選」のようなリストではなく、実際に支援してきた企業の実話をもとに、その本質をお伝えします。

この記事でわかること

  • 中小企業診断士が再生支援の現場で見てきた、経営危機に陥る企業の3つの共通点
  • 社歴の長い企業ほど「営業力の弱さ」が命取りになる理由と、実際の企業事例
  • 過去の成功・失敗体験への執着が、外部環境の変化への対応を妨げるメカニズム
  • 人手不足時代における「仕組みづくり」の重要性と、AI活用による解決の糸口
  • 自社が経営危機に陥らないために、今すぐチェックすべき視点
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みなさんこんにちは、中小企業診断士の春原です!

今回は少しシビアなテーマ、「潰れる会社の特徴」について書いていきます。

私が中小企業診断士として活動する中で、実は一番依頼が多いのが「再生支援」です。つまり、「来月には資金がショートするかもしれない」というギリギリの状態にある企業への支援です。正直、かなり厳しい現場も多く、胸が苦しくなるような出来事も何度もありました。

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ただ、そうした現場に何度も立ち会う中で、あることに気づきました。それは、経営危機に陥ってしまう企業には、業種や規模を問わず「共通する特徴」があるということです。

世の中には「潰れる会社の特徴◯選」のようなリスト記事がたくさんありますが、今回は数を並べるのではなく、私が現場で繰り返し目にしてきた本質的な3つの特徴に絞って、実際の事例とともにお伝えしていきます。経営者・管理職の方が「自社は大丈夫か?」を点検するきっかけになれば嬉しいです。

特徴①:営業力が圧倒的に弱い

まず1つ目は、「営業力の弱さ」です。これは、歴史の長い企業ほど顕著に表れる特徴だと感じています。

というのも、社歴の長い企業は、ビジネスモデルそのものの強さと、創業者個人の営業力によって成り立っているケースが非常に多いからです。

例えば、巨額な設備投資が必要な事業や、その地域では珍しい事業などは、競合が少ないため、そもそも営業をしなくても仕事が集まってきます。事業自体が強いので、営業力がなくても回ってしまうんですね。

しかし、今は流通網が発達し、競合は「地域内」ではなく「日本全国」になりました。顧客も、より良い商品、より安い商品を求めて、簡単に他社へ流れていきます。こうなると本来は営業力が重要になってくるのですが、その頃にはすでに自社に営業のノウハウは蓄積されておらず、新しく営業人員を雇う余力もないという、八方ふさがりの状態に陥ってしまいます。

こういう場合、社長自らが営業に出るケースが多いのですが、社歴の長い企業では社長が2代目であることが多く、ここで雲行きが怪しくなります。2代目経営者は、創業者に比べて営業力が弱い方が多いため、結局売上を作れないまま、経営が傾いていってしまうのです。

実際にあった事例:製造卸売業のケース

これは、とある製造卸売業の会社の話です。

昭和の中頃に創業したこの会社は、当時としては巨額な設備を保有しており、近隣地域に競合がいない事業を営んでいました。さらに先代の代表は、いわゆる「イケイケ気質」の方だったそうで、飲み会や接待ゴルフを通じて顧客を大量に獲得してくる、ゴリゴリの営業マンだったといいます。まさに「ビジネスモデルと創業者、両方が強い」典型的なパターンでした。

しかし、そこから時が流れ、先代が亡くなり、2代目に代替わりしてしばらく経った現在、この会社は強烈な経営危機に瀕しています。物価高騰も重なり粗利が確保できない中で、新規開拓もできなければ価格交渉もできないという最悪の状況です。かつての設備面での優位性は、あっさりと大手企業に取って代わられ、2代目社長は営業経験を一切積まないまま社長になってしまったため、社内の誰も売上を作れなくなっていました。

幸い、売上の8割を占める取引先が大手企業で、設備の状態も良かったことから、最終的にはM&Aという形で着地しましたが、一歩間違えれば倒産していてもおかしくない状態でした。

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特徴②:過去の成功・失敗体験に執着する

2つ目は、「過去の成功体験や失敗体験に執着すること」です。

創業間もないスタートアップなどは例外ですが、私が支援してきた倒産寸前の企業は、ほぼすべてが過去の成功体験、あるいは失敗体験に強く執着していました。「昔からこうしてきた」「昔やったけどダメだった」——こうした言葉は、私たちコンサルタントが何か新しい提案をした瞬間に、必ずと言っていいほど出てきます。そして、こうして過去に縛られる会社ほど、経営危機に陥っていく傾向があります。

とはいえ、過去の経験を持ち出すこと自体がすべて悪いわけではありません。それが今も有効なケースは十分にあり得るからです。本当の問題は、過去に執着するあまり、外部環境の変化に対応できなくなることにあります。

最新の技術、経済状況、顧客のニーズ——今は外部環境の変化が非常に激しく、数年前まで有効だった手法が、今ではすっかり陳腐化しているということが頻繁に起こります。逆に、過去にうまくいかなかったことが、今なら十分に通用する、ということもあり得ます。つまり重要なのは「今の環境に合っているかどうか」であり、この変化に対応できない会社から、静かに経営が傾いていくのです。

実際にあった事例:建設業のケース

これは、とある建設会社の話です。

地元の名士企業のような立ち位置で、行政ともつながりがあり、全盛期は「地元で知らない人はいない」と言われるほどだったそうです。ただし、案件の取り方はほとんど「談合」のような状態で、その状況に疑問を持つ社員は誰一人いませんでした。

財務状況を精査し、資金繰りの実態を確認したところ、「これはもう危ない」という水準にまで悪化していました。会議の場でも当然この話題を出したのですが、返ってきたのは「うちはずっとこうやってきた」「今は仕事がないだけで、これから回ってくる」「何も知らないよそ者が口を出すな」といった声ばかりでした。

結果として、この会社は倒産しました。談合のような仕事の取り方が永遠に続くはずがない(そもそも違法)にもかかわらず、強烈に栄えた過去の成功体験を手放せず、外部環境の変化に合わせて自社を変えられなかった——この結末は、ある意味必然だったといえるでしょう。

特徴③:会社としての「仕組み」ができていない

3つ目は、「会社としての仕組みができていないこと」です。

最近、人手不足を理由にした倒産・廃業が急増しています。倒産までいかなくても、人手不足の影響は非常に大きい。

一方で、中小企業の中にも、人が集まる企業は数多く存在しますし、人が集まらなくても事業として成立している企業もあります。この差は、一体どこから生まれるのでしょうか。

私は、この違いこそ「会社としての仕組み」の有無だと考えています。「人が集まる仕組み」や「人がいなくても回る仕組み」です。特徴①の内容とは対になりますが、たとえゴリゴリの営業人員がいなくても、それ以外の方法で顧客から注文が入る「仕組み」さえ作ってしまえば、営業人員は必須ではなくなります。

この仕組みづくりは、経営戦略そのものと直結しています。だからこそ、経営者が日頃から考え続けるべきテーマだと私は思っています。

AIの登場で、仕組みづくりはしやすくなった

仕組みづくり、特に人手不足への対応については、今はかなり取り組みやすくなっていると感じています。理由はシンプルで、AIが登場したからです。これまで5人必要だった作業を、AIを活用すれば2人でこなせる——そんな状況が、本当に現実になってきています。

これは、とある建設会社の事例です。工事を外注する際、現場には監督者を1人配置しなければならないというルールがあります。そうなると、請け負える工事の数は必然的に「人の数」に比例してしまい、売上が頭打ちになります。現場監督は事務作業も兼務しているため監督業務だけに専念することもできず、教育に割ける時間も限られているため、たとえ新しく人を採用しても、戦力になるまで半年はかかってしまいます。

そこで活用されたのがAIでした。現場監督のノウハウは、意外と定型化できる「知識」の部分が多かったため、まずAIに学習させ、現場監督のサポートツールとして活用することで、教育期間を大幅に短縮できました。さらに事務作業もAIで効率化することで、一人当たりが担当できる仕事量の上限を引き上げることに成功しています。

このように、AIを味方につけることで、これまで「人手」に頼るしかなかった仕組みづくりが、中小企業でも現実的な選択肢になってきています。

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まとめ:3つの特徴から見えてくる、自社を守るための視点

ここまで、私が再生支援の現場で繰り返し見てきた「潰れる会社の3つの特徴」を紹介してきました。

  • 営業力が圧倒的に弱い(ビジネスモデルや創業者個人に依存し、代替わりで一気に崩れる)
  • 過去の成功・失敗体験に執着する(外部環境の変化に対応できなくなる)
  • 会社としての仕組みができていない(属人化から抜け出せず、人手不足に耐えられない)

3つに共通しているのは、「環境が変化しているのに、会社の中身が変わっていない」ということです。逆に言えば、この3点を定期的に点検し、必要な手を打てている会社は、経営危機を未然に防げる可能性が高いということでもあります。

「自社は大丈夫だろうか」と少しでも感じた方は、一度立ち止まって、この3つの視点で自社を見直してみてください。

よくある質問(FAQ)

黒字の会社でも、これらの特徴に当てはまれば危ないのでしょうか?

すぐに危ないわけではないですが、「気づいたら崖っぷち」という状況になる可能性は十分にあります。というのも、黒字だと事態が表面化しずらく、全員が「これで安泰」と感じてしまうためです。崖っぷちになってからだとできることが限られるので、今からできることは進めましょう。

2代目・3代目経営者は、どこから手をつければよいですか?

まずは会社やご自身に営業力があるかどうかを確認しましょう。中小企業の場合、組織として営業が滞っている場合が多いので、そのときは経営者自ら営業を行います。未経験の場合、かなり厳しいとは思いますが、ここは避けては通れません。資金に余裕がある場合は外注するのも手ですが、会社に営業ノウハウが蓄積されない以上、多かれ少なかれ自社で営業は行いましょう。

AI活用と言われても、何から始めればいいかわかりません。

まずは、自社の業務理解に努めましょう。いきなり大きな投資をする必要はありません。今は無料で使える生成AIがありますから、そういったものをうまく使っていきます。とはいえ、あくまでもAI活用は手段です。会社の業務を理解し、課題に対してAIの利用が最適かどうかを検討したうえで、AI導入があります。

すでに資金繰りが厳しい場合、どのタイミングで専門家に相談すべきですか?

「もう少し頑張れば何とかなる」と感じている段階が、実は一番相談すべきタイミングです。資金繰りは、悪化するほど選択肢が狭まっていきます。早期に専門家へ相談することで、打てる手の数を減らさずに済みます。

おわりに

今回は、私が再生支援の現場で見てきた「潰れる会社の3つの特徴」についてお伝えしました。

どれも、決して特別な会社だけに起こることではありません。多くの中小企業が、知らず知らずのうちに一つでも当てはまってしまう可能性がある特徴です。

もし今回の内容を読んで、「自社にも当てはまるかもしれない」と感じた方がいらっしゃれば、早めに専門家へご相談いただくことをおすすめします。春原中小企業診断士事務所では、決算書の分析から経営改善のご提案まで、経営者の方に寄り添った支援を行っています。お気軽にお問い合わせください。

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