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創業時の融資は受けるべき?中小企業診断士が語るメリット・デメリットと判断基準

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「創業時は融資を受けた方がいい」——先輩経営者からよく聞くこのアドバイス。しかし、本当にすべての創業者に当てはまるのでしょうか。創業融資には、制度の使いやすさや金融機関とのパイプ作りといったメリットがある一方で、返済負担や金利、先行き不透明な中での借入リスクといったデメリットも存在します。本記事では、「借りるべきか」を周囲の意見ではなく自社の事業計画と照らして判断するための視点を、中小企業診断士がわかりやすく解説します。

この記事でわかること

  • 創業融資を受ける3つのメリット
  • 創業融資を受けることのデメリット・リスク
  • 「創業時は借りた方がいい」と言われる本当の理由
  • 借入をするかどうかを判断するための考え方
  • 融資以外の選択肢(助成金・補助金)について
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こんにちは!中小企業診断士の春原です!

先日、経営者交流会である創業間もない経営者の方とお話しする機会がありました。その方は「他の経営者から、創業時は融資を受けておいた方がいいと言われたので、融資を受けることにした」と話していました。

この一言をきっかけに、「そもそも創業時に融資を受けるべきかどうか」について、あらためて整理してみたいと思い、この記事を書くことにしました。

創業融資というと、日本政策金融公庫の新創業融資制度や、自治体の制度融資などをイメージする方が多いと思います。「創業時は融資を受けやすい」という話は事実ですが、だからといって全員が借りるべきとは限りません。

この記事では、創業融資のメリット・デメリットを整理したうえで、「借りるかどうかは何を基準に判断すべきか」という、より本質的な部分を中小企業診断士の視点で解説します。

創業融資とは?まず押さえておきたい基本

創業融資とは、これから事業を始める方や創業して間もない方を対象とした融資制度の総称です。代表的なものに、日本政策金融公庫の創業関連融資や、地方自治体・信用保証協会・金融機関が連携して行う制度融資があります。

これらの制度に共通しているのは、実績のない創業者であっても、事業計画書などをもとに融資を受けられる可能性があるという点です。通常、創業したばかりで実績のない事業者が民間の金融機関から融資を受けるのは簡単ではありません。その意味で、創業融資は「創業期だからこそ利用できる、間口の広い資金調達手段」と言えます。

創業融資を受ける3つのメリット

まず、創業融資を受けることのメリットを3つに整理します。

1. 創業時は融資を受けやすい

創業融資には、創業者向けに用意された制度が数多く存在します。日本政策金融公庫の創業融資や、自治体・信用保証協会と連携した制度融資などがその代表例です。これらは通常の事業融資に比べて、実績が少ない創業者でも申し込みやすい設計になっています。

裏を返せば、「創業時」という限られたタイミングだからこそ使いやすい制度が多いということでもあります。数年後、実績を積んでから同条件で借りようとしても、同じようにはいかないケースが多いのが実情です。

2. 金融機関とのパイプを作りやすい

創業融資を通じて金融機関と最初の取引実績を作っておくと、その後の資金調達がスムーズになりやすいというメリットがあります。金融機関は、これまでの返済実績や取引履歴を重視する傾向があるため、早い段階で関係を構築しておくことは、将来的な選択肢を広げることにつながります。また、金融機関ならではの支援制度や情報提供などのサポートを受けることもできます。

3. 最初の運転資金・設備資金の足しになる

創業直後は、売上が安定するまでにどうしても時間がかかります。その間の運転資金や、設備投資に必要な資金を融資で補えることは、単純に資金繰りの安心材料になります。手元資金に余裕があることで、目先の資金繰りに追われず、事業の立ち上げに集中しやすくなる面もあるでしょう。

創業融資のデメリット・注意点

一方で、創業融資には見過ごせないデメリットもあります。

借金であることに変わりはない

当たり前のことですが、融資はあくまで「借金」であり、返済義務があります。事業がうまくいってもいかなくても、原則として毎月の返済は発生し続けます。この「返済に追われる」という感覚は、創業初期の経営者にとって想像以上に大きな精神的負担になることがあります。

金利負担が発生する

借入である以上、金利の負担も発生します。制度によって金利水準は異なりますが、借りた分だけコストがかかるという点は変わりません。特に、創業当初は利益が出にくい時期でもあり、最近は金利が大幅に上昇しているので、金利負担が経営を圧迫する要因になり得ます。

売上が立つ前は、先行きが見えにくい

創業直後は、まだ売上の見通しが十分に立っていないケースがほとんどです。そうした状態で借入を行うということは、「返せる見込みが不確実な状態で、返済義務だけが先に発生する」ということでもあります。事業計画上は黒字化のシナリオが描けていても、実際にその通りに進むとは限りません。

なぜ「創業時は融資を受けた方がいい」と言われるのか

先輩経営者からの「創業時は借りておいた方がいい」というアドバイスは、多くの経営者が実際に経験してきたことに基づいています。おそらくその背景には、「どのみち事業を続けていれば、いずれ借入をすることになる」という実感があるのだと考えられます。

実際、事業を拡大していく過程では、設備投資や人材採用など、まとまった資金が必要になる場面が必ず出てきます。そのときになって初めて融資を検討するより、条件の良い創業融資を使える創業期のうちに借りておいた方が合理的だ、という考え方は確かに一理あります。

ただし、これは「借りることが前提」になっている点に注意が必要です。自分の事業に本当に借入が必要かどうかとは別の話として切り分けて考える必要があります。

借りるかどうかは「自分のビジネス」と相談すべき

結論として、創業時に融資を受けるべきかどうかは、他の経営者の成功体験ではなく、自分自身のビジネスモデルや資金計画と照らし合わせて判断すべき問題です。

判断のポイントとして、次のような観点が挙げられます。

  • 借入をしなくても、事業を立ち上げ・継続できる自己資金があるか
  • 借りた資金を投じることで、売上や利益が明確に増える見込みがあるか
  • 毎月の返済額を、無理なくキャッシュフローに組み込めるか
  • 売上が計画通りに立たなかった場合でも、返済を続けられるか

これらを踏まえずに「先輩に勧められたから」という理由だけで借入を決めてしまうと、返済負担だけが重くのしかかる結果になりかねません。

大原則:借りなくて済むなら、借りない方がいい

あえてはっきり申し上げると、借入をしなくて済むのであれば、しないに越したことはありません。これが大前提です。

「他人資本を使ってレバレッジを効かせた方が成長スピードが上がる」という考え方も経営の世界ではよく耳にします。これは、「財務レバレッジ」といって、負債を活用して、少ない自己資本で何倍の資本を動かせるか、という指標です。しかし、この考え方はあくまで「事業がうまくいくこと」を前提です。これは既存事業の拡大フェーズに適用できるものであり、リスクの高い創業初期の新規事業に適用すべき考え方ではありません。

実際に、新規事業の多くが計画通りには進みません。売上が思うように立たない、想定外のコストが発生するといったことは、創業期には珍しくないことです。うまくいく前提のセオリーを、うまくいくかどうかわからない段階でそのまま当てはめてしまうのは、リスクの取り方として慎重さを欠く可能性があります。

借入によるレバレッジは、事業の再現性や収益性がある程度見えてきてから検討しても遅くはありません。創業直後の不確実性が高い時期こそ、借入リスクには慎重であるべきだと考えます。

融資以外の選択肢:助成金・補助金という手段

資金調達の手段は、融資だけではありません。返済義務のない助成金や補助金という選択肢もあります。

助成金・補助金は、要件を満たす必要があり、また多くの場合「後払い」であるため、先に資金を用意しておく必要があるなど、融資とは異なる制約もあります。しかし、返済不要という点は、創業期の資金繰りにおいて大きなメリットです。自社の事業内容に合った助成金・補助金がないか、融資を検討する前に一度確認してみる価値は十分にあります。

「つなぎ融資」は活用しても良い

つなぎ融資というのは、補助金が入金されるまでの間に、融資をもらうことです。先ほどの話の通り、補助金や助成金は「後払い」。つまり、設備投資などのために何かしら支払った後に、補助金を貰うことができます。この設備投資から補助金の入金までの間で一時的にキャッシュが減少するので、この間を埋めるための融資が「つなぎ融資」といいます。

これは、将来的に補助金が入ってくることが明確で、返済の算段が立ちやすいので、つなぎ融資であれば創業時に受けても問題ないといえます。

まとめ

創業時の融資について、メリット・デメリットと判断のポイントを整理してきました。

  • 創業融資は、実績のない創業期だからこそ利用しやすい制度であり、金融機関とのパイプ作りや当面の資金の足しになるというメリットがある
  • 一方で、借金であること、金利負担、売上が読めない中での返済義務といったデメリットも存在する
  • 「創業時は借りた方がいい」というアドバイスは一理あるが、それは借りることを前提とした話であり、自分の事業に当てはめて考える必要がある
  • 大原則として、借りなくて済むなら借りない方がよく、他人資本によるレバレッジ論はビジネスが順調に進む前提の話であることを忘れてはならない
  • 融資以外にも、返済不要の助成金・補助金という選択肢がある

創業融資を受けるかどうかは、経営における最初の大きな意思決定のひとつです。周囲のアドバイスを参考にしつつも、最終的には自社の事業計画やキャッシュフローと向き合ったうえで、納得のいく判断をしていただければと思います。

もし、創業融資を受けるべきか迷っている、事業計画の作り方から相談したいという方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

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