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マーケティング

マーケティングは電車の中で|通勤時間で鍛えるマーケティング力、まずは「つり革広告」から

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毎日の通勤・移動中に何気なく目にしている「つり革広告」。実はそこには、企業が投じた広告予算とプロのマーケターの仕事が凝縮されています。本記事では、新シリーズ「マーケティングは電車の中で」の第1回として、なぜ数ある広告の中から「つり革広告」を題材に選んだのか、そして広告の意図を読み解くための基本的な考え方について、中小企業診断士の立場から解説します。分析そのものがゴールではなく、そこから読み取れる世の中の動きを自社のビジネスに転用することこそが、このシリーズの目的です。

この記事でわかること

  • なぜ「つり革広告」がマーケティング力を鍛える教材として優れているのか
  • 広告分析を自社ビジネスの実務に活かすための視点
  • 広告の意図を読み解くための「仮説思考」の基本プロセス
  • 「誰に」「どんな価値を」「どう伝えるか」という3つの切り口の使い方
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みなさんこんにちは!中小企業診断士の春原です。

今回から、新しいシリーズを始めます。テーマは「通勤時間で鍛えるマーケティング力!」です。題材にするのは、電車の中の「つり革広告」です。

さっそく問題です!

いきなりですが、以下は2025年12月の総武線内のつり革広告です。みなさんは、この広告の「ターゲット」は誰だと思いますか?

……さて、みなさんわかりましたでしょうか?

この広告の解説については、次回の記事でじっくり書いていくとして、今回はまず「なぜこんな企画を始めたのか」というところからお話しさせてください。

なぜ「つり革広告」なのか?

つり革広告、実は決して安い広告枠ではありません。路線や期間にもよりますが、まとまった出稿費用がかかる、いわば「本気の広告枠」です。つり革広告は<cite index="6-1">日常的に電車を利用する通勤・通学者から、観光や買い物で電車を利用する幅広い層まで、多様な生活者にアプローチできる媒体</cite>とされており、企業側もそれだけの投資対効果を見込んで出稿を決めています。

そしてその裏側には、莫大な予算をかけた市場調査、どの商品・サービスを、どのタイミングで、どんな切り口で打ち出すかという商品選定、限られたスペースの中でのレイアウト設計、そして一瞬で読み手の心をつかむためのコピーライティングといった、プロの仕事がぎゅっと凝縮されています。

つまり私たちは、毎日の通勤・移動の中で、企業が投じた莫大な予算とプロのスキルの「最終アウトプット」を、無料で見ることができるのです。これほどコスパの優れた教材を、使わない手はありません。

つり革広告ならではの特徴

つり革広告には、他の車内広告にはない特徴があります。<cite index="7-1">乗客の手元近くに掲出されるため存在感が大きく、一つひとつのサイズは小さくても強い訴求力を持つ</cite>という点です。また、<cite index="7-1">1編成すべての車両のつり革に連続して掲出されることで、乗客に強いインパクトを与える</cite>設計になっています。狭いスペースの中で、企業がどのようなメッセージを選び抜いているのかを観察できる点が、この教材としての価値をさらに高めています。

マーケティング力を鍛える方法は他にもある

もちろん、日常の中でマーケティング感覚を鍛える方法は、つり革広告だけではありません。

例えば、コンビニの陳列棚。限られた棚の面積の中で、どの商品を、どの高さに、どんな順番で並べるかには、緻密な計算が働いています。家電量販店の売り場も同様で、どの商品を目立たせ、どんな比較軸で選ばせようとしているかを観察するだけで、多くの学びがあります。

そんな選択肢がある中で、今回のシリーズでは「つり革広告」に絞ることにしました。理由は次の3つです。

  1. 通勤・通学で電車を使う人にとっては、ほぼ毎日、強制的に目に入る
  2. 広告の入れ替わりが比較的頻繁で、時期ごとのトレンドを追いやすい
  3. 短いコピーとビジュアルに、伝えたいメッセージがぎゅっと凝縮されている

日常生活の中で、意識せずとも目に入ってくるからこそ、練習素材として続けやすいんですよね。

分析はゴールじゃない!

ここで、一つ大事なことをお伝えしておきます。

このシリーズの目的は、「広告を分析すること」そのものではありません。分析はあくまで入り口であり、本当のゴールは、そこから読み取れる今の世の中の動きを、みなさん自身のビジネスに転用することです。

例えば、こんな見方ができます。

  • 今、どんな業種の広告が多いかを見れば、勢いのある業界や、力を入れている時期が見えてくる
  • どんな悩みや欲求に訴求しているかを見れば、消費者心理の今の傾向が見えてくる
  • 使われている言葉づかいやトーンを見れば、今どき刺さる表現のヒントが見えてくる

これらは、そのまま自社の商品やサービスをどう見せるか、営業トークをどう組み立てるか、といった実務のヒントに直結します。つまり、つり革広告の分析は他人事の観察ではなく、自分のビジネスへの応用を前提にした実践トレーニングなんです。

中小企業の経営者・管理職にとっての実務メリット

大手企業のように市場調査や広告制作に大きな予算をかけられない中小企業にとって、こうした「他社がすでにお金をかけて検証済みのアウトプット」を無料で観察できることは、大きなメリットです。自社のチラシやホームページのキャッチコピーを考えるとき、あるいは営業トークの切り口に悩んだとき、通勤中に見たつり革広告の型をヒントにできる場面は少なくありません。特別な分析ツールや予算をかけずに始められる点も、忙しい経営者・管理職にとって続けやすいポイントです。

広告の意図をつかむプロセス

分析を始める前に、土台となる考え方を整理しておきます。

結論から言うと、まず一番大事なのは「仮説を立てること」です。「この広告は、こういう意図で作られたんじゃないか」という仮の答えを、自分の頭で作り出す。これができて初めて、広告の意図に近づけます。

ただし、仮説というのは、いきなりポンと思いつけるものではありません。まず必要なのは、その広告を見て「あれ?」と引っかかったこと、つまり疑問を列挙することです。仮説は、その疑問の積み重ねの先に生まれてきます。

疑問を見つけるための3つの切り口

そして、疑問を見つけるための切り口として使えるのが、先ほど触れた「誰に」「どんな価値を」「どう伝えるか」の3つです。それぞれの切り口で広告を眺めてみると、必ずどこかに小さな違和感が見つかります。

例えば、こんな具合です。

  • この会社は〇〇がターゲットのはずなのに、なぜこんな文章なんだろう?(誰に×どう伝えるか)
  • この価格帯なら、もっと機能面を訴求しそうなのに、なぜ感情に訴えるコピーなんだろう?(どんな価値を×どう伝えるか)
  • この便益なら、ターゲットはもっと年齢層が高いはずなのに、なぜこの色使いなんだろう?(どんな価値を×誰に)

こうした「なぜ?」を一つひとつ集めていくと、それらの疑問すべてに筋の通る説明ができる仮説が、自然と見えてきます。逆に言えば、疑問を素通りせずにきちんと拾い上げることこそが、広告の意図をつかむための一番の近道なんです。

「誰に」「どんな価値を」「どう伝えるか」は、答えを直接教えてくれる魔法の公式ではなく、疑問を見つけ出すためのアンテナだと思ってください。そのアンテナで拾った違和感を、自分なりの仮説にまとめていくプロセスそのものが、マーケティング力を鍛えるということなんです。

次回予告

次回からは、実際のつり革広告を1つ取り上げ、まず「考えるフェーズ」として、疑問や仮説を考え、意図を推測します。そのうえで、「回答」として、実際にはどんな顧客像を狙って作られたと考えられるか、私なりの推測を提示します。

日々何気なく目にしている広告が、実は宝の山であることに、きっと気づいていただけるはずです。冒頭のクイズの答え合わせも含めて、次回もぜひお楽しみに!

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